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ヴェールト詩抄 5

 投稿者:doitsugoken  投稿日:2008年 7月 1日(火)17時51分36秒
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     山の上

山の上に立ち
谷を見降ろしていた
地味な人たちだが
みんな好きだった!

あそこには教会がくすんだ色で立っている
もうかなり古い
あそこの堂守がでっかい帳面に
俺の名前を記入したんだ!

その向こうには礼拝堂がある
そこで俺もはじめて賛美歌をうたったっけ!
指揮者はヴァイオリンをひいてたんだ
俺をよくぶっ叩いたっけ

菩提樹がざわざわしているところは
真っ白の家があるんだ!
二階の窓には
蔓バラが見える −

おお、ずっと咲いといとくれ
バラよ、元気よく
何年か先に
また会える日まで!

俺が再び
狭い露地を散歩するまで
また素敵なあの娘に
キスするまで!

   緑の森で

彼等は緑の森の
緑の草の上に横になっていた
そしてさっそく歌いだした
ディスカントとテノールとバスで

仕立屋はディスカントで歌い
靴屋はテノールでうなり
建具屋は、粋に
バスでどなった

まず仕立屋がはじめた
軽くステップを踏んで
「おいらはヴィーンやハンブルク仕立ての
素敵な服をつくるんだ!」

それに合わせて靴屋は起き上がり
笑いながら歌った
「おいらは可愛らしい足に
素敵で可愛らしい靴をたくさんつくるんだ!」

続けて建具屋が大声でどなったので
森の野呂鹿もびっくり
「おいらほど器用なもんはいないね
揺籠から棺桶までつくるんだ!」

建具屋に靴屋に仕立屋は
いっせいに拍子をとって歌った
「このとびきりの仕立屋がいなけりや
みんな裸というわけさ!

この世に靴屋が生きてなきや
歩くこともままならぬ
建具屋がいなかったら
誰もちゃんと墓にはいれないよ!」−

こう彼らは森で歌った
緑の草は輝いていた
川や野原に響き渡った
ディスカントとテノールとバスが

   三人の若い職人

三人の若い職人
ラインを泳いで来たそうだ
ある親方の小さなドアから
はいって行った

一番目は親方と話をし
二番目はおかみさんに挨拶し
三番目は青い目の
可愛いい娘にキスをした

ワインを飲んで
魚を食べてから
台の上に膝を曲げて
一緒に座った

ナイチングールのように歌い
針をとおし、星のまたたく頃まで
ズボンを
縫い続けた

何ときれいにまたたいたことか
古都ケルソの星たちは!
それから三人はめいめい
針をぶち折った

一番目は親方と話をした
二番目はおかみさんに挨拶した
三番目は青い目の
可愛いい娘にキスした

それから波立つ川を泳いで
帰って行ったそうだ −
高いドームから大きな鐘が
鳴り響いた


   さくらんぼの花の咲く頃

さくらんぼの花の咲く頃
俺たちは宿をとったのさ
さくらんぼの花の咲く頃
フランクフルトに宿をとったのさ

宿のおやじの言うことにや
「しけた外套を着てやがら!」
「しらみ宿のおやじさん
お前さんの知ったことかい!

ワインをくんな
ビールを出しな
ビールとワインだよ
肉の焼いたのもね!」

栓のコックがキュッと鳴る −
けっこうな飲み物のようだがね
飲んでみりあ
まるでしょんべんだ!

それからやっこさん
パセリを添えて兎を出した
このくたばりぞこないの兎ときたら
気が滅入るったらありゃしない

そしてべットの上でおやすみの
お祈りをしてからっというもの
南京虫のやつに夜っぴてえ
喰われるという始末さ!

これはフランクフルトであったこと
あの素敵な町でね
このことは、そこに住んで
ひどいめにあった誰もが知ってらあ


  ソロモン

   ある聖書物語

   題詞 それから高齢の故に
      前に進むことができなくなると
      ソロモンは歳言を
      ダビデは詩篇を書いた

老いたソロモン王は
八字髭をはやしていた
女たちのもとで喜々として
何時間も時を過ごして楽しんでいた
七百人の女たちを
正室に迎え
その上、伝説によると
三百人を側室にしていた

船を航海に出して
見栄えのする立派な船だった
黄金と象牙を運んできた
猿も孔雀も積んで来た
座る椅子も金
使う食器もみんな金
ズボンにも金をつかい
煙草入れも金だった

砂漠の国アラブの地に
美しい女王がいた
ソロモンのことを耳にするや
かってない恋に身を焦がした
居ても立ってもいられず
馬に財宝を積んでやって来た −
賢い王のこと
これをいたく喜んだ

王はさっそく宮殿で
大人にも子供にも
貴族にも役人にも
メヌエットと輪舞を踊らせた
いつものことながら、ポートワインと
ブルゴニューワインの大盤振舞 −
アラビアの女王は
たゞたゞびっくりするばかり

夢心地に手を挙げて
突然王に言うことには
「ユダヤの国では、みんな
何と楽しく過ごしていることでしょう!
昔読んだ絵本のことは
本当のことなんですね
こちらでは宮殿も家も通りも
ニンニクと玉葱の匂いがしているって
 

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