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色彩を吸い込む。
すると
僕の中から
青い花の
永遠の
生命への
希望が
湧いてくる。 (920228)
カイゼルの戦争9)の後
ベルリンは
民主主義を学び
将軍たちは背後のひと突きについて
語った。
ヒットラ−の戦争の後
ベルリンは
ロシア方式を学び
ふたつの通貨と壁が
街を分けた。
この間の戦争では撃ち合いはなかった。
ベルリンは
西ドイツ方式を教え込まれた、
勝者は
何も学ばないのだから。 (920412)
争い合うということは、語り合うということだ。
語り合うということは、一緒にいるということだ。
一緒にいるということは、愛し合うということだ。
愛し合うということは、争いもあるということだ。
お互いに理解し合うよう
つとめよ。 (920708)
えぴろ−ぐ
かたろ−ぐ
え−りひハ嘘ツイタ10)
だいあろ−ぐ
へるむ−とハ同ジク嘘ツイタ
ものろ−ぐ (920801)
僕の願いを
かなえさせてくれる
流れ星は
今夜はもう
ないだろう。
飛行機が光を
明滅させているだけだ - 待てよ
ひょっとするとそれは
星たちの
流れ星かもしれないね。 (920808)
価値の転換
サロメは
支配者の娼婦の
悪魔のような権力によって
洗礼者の首を
銀の皿にいれて
持って来させた。
腐りかかった
胴体の方は
犬どもの
餌食となった。
今日、悪魔のような権力を持った
支配者は
不動産屋となって
エルベの東側で11)
身体から
内蔵を取り出し、
娼婦たちが
斬り落とされた頭を
犬どもに
投げ与えている。 (920809)
詩行-転換-本
詩行は本を転換する
本の詩行は転換する
本は詩行を束ねる
本は詩行を編む
詩行は絡み付く
本は詩行を転換する
詩行は本を転換するか
もし本があるとすれば: 詩行の本だ12)
もし詩行があるとすれば : 転換の詩行だ
もしなにかあるとすれば: 転換だ (920822)
本よ、お前は今僕の手のなかにある。どう向きを変えようと、どちらも表だ。お前はクリスティアン・シュレ−ダ−という名前だ。同時に僕の名前でもある。まさかヤヌス13)とは言わないだろうね。要するに、僕たちは2人だ。別人なのさ。でもお互いよく話しはするさ。もちろん大部分共通の言葉でね。ところでお前はどうなのか。お前は暗号化されている。お前の詩行は暗号だ。誰が解読しようとしているのか。散文詩もヴェ−ルに覆われている。あるいはさらけだしている。でも、本よ、お前はどうなんだ。お前は向きを変えるだけなのか。後向きにか。あるいは前向きにか。生に対してか。ほうっ! どちらも表だから、真ん中でお互い逆さになっている。するとお互いの頁どうしどう語り合うのかね。逆立ちしてかね。あるいは頭を転換するのかね。それとも読者の頭越しにかね。
もし本と頭がぶつかってしまったら、...
お前は転換の本だ。厳しい転換のなかで多くの人が支えを失っている。彼らは落ちる。ボ−トから。役柄から。彼らは落ちこぼれる。お前は落ちこぼれ的14)なのか。ボ−トから落ちた人は泳がなくてはならない。さもないと沈んでしまう。車から落ちた人は路上に横たわる。さもなければ墓の中だ。だが、墓の平穏はそこにはない。だから立ちあがるのだ。そして進むのだ。ハイウエイなんかめったに行くもんじゃない。みんなびゅんびゅん飛ばしているからね。ところで:どっちが前なのか。ひとつの転換の後なのか。...あの転換が最後というわけではない。アウトバ−ンは生命と引換えに舗装されているのだ。小径でこそまともな人間に会える。たとえみなりは良くなくても。自分自身にこそ会えるのだ。多くの人が足を引きずっているか、車椅子に乗っているかだ。あるいは手探りで歩いている。直立歩行は脊柱でするのだ。骸骨はできない。肉はなくても立ってはいるが。魂がなくてもね。転換で飛行機から落ちたら助からない。ひょっとして、前もって背中に落下傘をつけていたなんて。
本よ、お前にはふたつの壁がある。しかもどちらも表だ。頭をぶつけてみるかね。どんな音がすのだろうか。少しはエコ−がするだろうか。僕にはする。お前は上から降りてくるのか。あるいは雲のなかから真っ逆さまに落ちて来てびっくりさせるという寸法か。お前の前の壁は開いているのか。あるいはそれは境界となっているのか。それで締め出したり、囲い込んだりしているのだ。お前の前の壁の後の転換の前のテキストは言い訳のテキストなのか。それとも世間が間違っているというだけのことなのか。転換の後の詩行は転換されているか。それとも言い訳なのか。ひょっとして新たな転換の前のテキストなのか。転換がある限り、そういう時期というものがあるんだ。逆の場合だけではない。ひとつの壁が隔てている。お前のふたつの壁は、本よ、ともに表だ。それはパラドックスとしか聞こえない。だが、2掛ける2は4だ。4つの壁が屋根には必要だ。
人間は家を建てる限り、本を読むことができる。
人間は壁・転換のなかで生活している15)。
人間は壁・転換に突き当る。
お前は一冊の転換の本だ。
お前は一冊のふたつの壁の本だ。
お前は一冊の異議申立の本なのか。
もし人びとに会ったら、本よ、言いなさい:
僕からよろしく、と・・・ (920903)
注
1)ブレヒトの逆説 戦前から活躍し、戦後は、旧東ドイツの初期を代表し、世界的名声を得ている劇作家で演出家、詩人でもあるブレヒト(Bertolt Brecht 1898-1956)の戯曲『トゥ−ランドット』の30年代の草稿に同じような記述が見られるが、直接的には、53年6月17日ストライキでもって烽起した労働者に対して当時の作家同盟の書記で社会主義統一党の中央委員でもあったク−バ(Kurt Barthel 1914-1967)が、「何の言い訳もできない! きみたちにとって恥ずべきあの水曜日に、きみたちが住宅を建設しない理由はなかった。だから、この恥辱が忘れられるためには、きみたちは多くのそして立派な壁を造り、今後賢明に振る舞わなければならない」、と蜂起した労働者を非難したのをとらえてブレヒトは詩「解決(Die Lösung)」(1953) を書いた。
6月17日の烽起のあと
作家同盟の書記は
スタ−リン通りでビラを撒かせた
それにはこう書かれていた、人民は
軽はずみなことをして政府の信頼を失った、
信頼を回復するには以前の倍の労働を
するしかない、と。しかし次のようにしたほうが
簡単じゃないだろうか、政府が
今の人民を解散して
別の人民を選ぶというふうに。
2)楽しみ ブレヒトの詩「楽しいことども(Vergnuegungen)」(1954)参照。
3)力ずくの表現 原語は "Kraftausdruck" で「罵言」の意であるが、前の「力のひと言("Kraftwort")」に掛けているのでこう訳した。
4)ひとりの同志・・・ ブレヒトの教育劇『処置(Die Maβnahme)』(1930)、特にその中の歌、「党をたたえる("Lob der Partei")」及び「しかし誰だ、党とは("Wer aber ist die Partei?)」などを念頭に置いているものと思われる。
http://231.teacup.com/doitsugoken/bbs
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